京都府立医科大学 血液内科

腫瘍環境による造血器腫瘍の病態形成支持機序の解明と治療標的化

これまでに骨髄腫瘍環境依存性・特異的に、白血病細胞にGalectin-3が発現誘導され、細胞生存、治療抵抗性、骨髄内棲息、細胞遊走など多くの細胞機能に寄与していることを見出したほか(Yamamoto M, Proc Natl Acad Sci USA, 2011)、白血病細胞が存在する骨髄環境は高度の低酸素状態にあり、白血病におけるエネルギー産生が解糖系依存状態になっていること、その過程を通じてGlyoxalase-I過剰発現が生じた薬剤抵抗性獲得が誘導されることや、白血病幹細胞様形質の獲得に寄与していることなどを見出しました(Takeuchi M, Cell Death Differ 2010)。こうした腫瘍環境誘導性の治療抵抗性獲得は、既存の各種の治療における微小残存病変の形成において重要な役割を果たしていると想定され、その克服戦略開発の標的として期待されます。