ご挨拶
京都府立医科大学血液内科学教室は、内科分野別再編成を経て、平成17年11月1日に開講いたしました。初代教授である谷脇雅史前教授(現名誉教授)の後継として、開講より12年目を迎えた平成28年11月1日、血液内科学教室の第2代教授を黒田純也が拝命いたしました。
われわれの教室、ならびに同門のモットーは、「血液疾患の患者さんの光となる診療と研究」を展開していくこと、そして、それを実現する「人材の養成」と「システムの構築」を推進していくことです。
皆様のご支援、ご指導を頂戴できますよう、どうぞ、宜しくお願い申し上げます。
研究面では「臨床に役立つ血液学研究」をモットーに、基礎研究・臨床研究を両輪駆動で展開して参ります。基礎研究では、日々の診療での課題や疑問を端緒にし、難治病態の原因となる分子病態解明や、治療開発研究などの基礎・探索的研究を幅広く展開し、創薬や未来の治療戦略、診断法の確立の基盤となる研究、ならびに実際にそれらの開発研究を継続してまいります。臨床研究では、標準的診療では克服し難い難治疾患・病態の克服に挑戦すべく、予後不良症例を抽出するためのバイオマーカーの同定や、新規治療戦略の導入、支持療法の充実などの臨床研究を推進していきます。
診療においては、教室における最新・最善の診療のあくなき追求はもちろんのこと、関連医療機関との強固な協力体制を構築し、「京都府立医科大学関連血液診療ブロック」として、京都府、及び、近隣地域に安定的に高品質な血液診療を提供の実現を目指します。その一環として、我々は同門会、関連組織と共に平成23年に「京都血液臨床研究グループ(Kyoto Clinical Hematology Study Group; KOTOSG)」を立ち上げました。このグループでは、より実地診療に根ざしたリアルワールドのクリニカルクエスチョンについて共同研究を行うことで、グループ施設における臨床成績の自己・相互検証による診療水準の向上と均霑化、さらにはエビデンスの創出と世界への発信にチャレンジしています。また、こうしたプロセスを通じ、施設を超えた医師間の連携が深まり、より強固でインターアクティブな血液診療グループの構築が図ることが可能です。これらを通じ、日々と未来の血液疾患診療を向上していきたいと考えています。
そして、これらの実現には「人材育成」、すなわち「教育」が糧となります。附属病院では標準的な診療技術、治療法の習得はもとより、大規模臨床試験や治験を通じて最新治療に触れ、専門的診療力と全身管理能力の向上を図ります。一方、基礎・臨床研究の双方の過程を経験することによって、一人の臨床医、研究者として求められる思考プロセスと実践力の養成を目指していきます。また、KOTOSG共同臨床研究を通じて、医師の生涯教育も推進します。こうして血液診療と血液医学の発展に貢献すべく、教室では思考力、決断力、実行力、そして難治病態に屈しない胆力を併せ持つ、診療現場の「光」となりうる血液内科医、血液医科学者を育成していきたいと考えています。喜ばしいことに、近年、教室には血液医学に志を抱き、研鑽を求めて教室に参画する若手医師が着実に増加しており、診療に、研究に切磋琢磨してくれています。彼らが血液内科医・研究者として成長し、その実力を社会に還元する日は遠い未来ではないでしょう。
医学はひとりで展開することは不可能なフィールドです。個人のライフスタイルや嗜好の多様性がより尊重される世相にあって、血液内科医、血液内科学者としての社会貢献、充実した医師生活を目指すうえで、今こそ、医師の協調性と柔軟性、互助精神のバランスのもと、チームを構成することが重要だと思います。医師・医科学者としての人生は決して短いものではありませんし、医師個人の人生にもいろいろな苦難が起きることがあるかもしれません。しかし、多くの力が究極の目標を同じくして結集し、医師同士も助け合うことができれば、その分、多様性も喜びも苦労も分かち合うことが可能となるのではないでしょうか。医療・医科学への貢献の仕方は様々です。京都府立医大血液内科グループでは、そうした思いを共有できる医師が結集することで血液内科診療・血液内科学の発展に貢献し、地域に信頼され、医師も働きやすい「血液診療ブロック」の構築を目指していきます。
血液内科を志す医師の皆さん、ともに力を結集しましょう。