京都府立医科大学 血液内科

ご挨拶

谷脇先生

平成17年11月1日より京都府立医科大学内科学教室血液・腫瘍内科学部門が創設されました.教室のあゆみは9年目にはいり,診療・研究・教育の体制が確立いたしました.これまでご尽力頂きました諸先輩の先生方には,心より御礼を申し上げます.

当教室では,標準量あるいは高用量化学療法,造血幹細胞移植に加えて,分子標的治療薬を駆使して血液腫瘍の治癒率向上に努力し,成果をあげております.これまで以上に質の高い医療を提供するために,関連施設とともに結成した京都血液臨床研究グループ(KOTOSG)で経験を共有し,実地診療におけるエビデンスを積み上げおります.さらに,KOTOSGでは新薬の臨床開発第I, II相試験と造血幹細胞移植の改良に取り組んでいます.

基礎研究においては,豊富な経験と業績を有するスタッフが,ゲノム異常から機能解析まで一貫した最先端のプロジェクトを牽引しております.中心的なテーマは,分子遺伝学的手法による血液腫瘍における原因遺伝子の単離や診断法への応用,多発性骨髄腫,骨髄異形成症候群,白血病に対する分子標的治療薬開発であり,「ベンチからベッドサイドへ」を目標にして着実に成果をあげています.

谷脇先生

さらに,腫瘍内科医,感染症やDIC治療の分野でも活躍できる医師の養成も目指しており,本学大学院の腫瘍薬物療法専門コースを選択することによって効率的に専門医取得の資格がえられます.それよって,当教室では新たに3名の「がん薬物療法専門医」を輩出しております.

大変重要なことは,臨床と基礎の何れの研究においても英文原著によって,国際社会にわが国の成績を発信することです.それが,グローバル化を柔和なものにしていきます.医学に限らずあらゆる分野で様々なことが激しく変化しています.歴史的にみましても,この様なときには「知足」と「独創性」が不可欠です.ハードなスケジュールですが最先端医療に携わることができます.苦労が大きければ喜びは更に大きいのです.

現在は,整備された診療・研究・教育の体制を基盤に,血液内科医,腫瘍内科医の卒後臨床研修体制も充実し,全国から若い医師が集っています.研修医や専攻医の若い先生方とアイデアを出し合いながら,スタッフが互いに協力して診療の実力アップを図れるような体制を発展させたいと考えています.

患者も医師もあらゆる人々が満足できる医療体制を創造するために,全国の意欲のある先生方がこの新しい血液・腫瘍内科学教室に参加して頂くことを期待します.全国の若い医師や研究者の力を結集しましょう.


京都府立医科大学 血液・腫瘍内科学部門

初代血液・腫瘍内科教授 名誉教授 谷脇雅史

平成25年 記

教室紹介